インボイス制度の開始が刻々と近づいておりますが、制度についての理解は深まっておりますでしょうか。
今回は、インボイス制度開始後の簡易課税事業者の対応についてお伝えできればと思います。
※本記事では、消費税及び地方消費税を「消費税」として記載しております。
インボイス制度
インボイス制度は、適切な仕入税額を控除するための制度であり、売り手側と買い手側でそれぞれ対応が必要です。
売り手側:適格請求書(インボイス)の交付を求められた場合に、インボイスの交付およびその控えの保存義務あり
買い手側:保存しているインボイスに記載のある消費税額を仕入税額として、納付する消費税額から控除可
インボイス制度については以下の記事でも説明しておりますので、よろしければご覧ください。
インボイス制度~売手目線~ (2022.10.19 スタッフブログ)
インボイス制度の概要は上記のとおりで、このような対応をとる必要があるのは『原則課税事業者』となります。
では、『簡易課税事業者』の場合はどうなるのでしょうか。
結論としては、売り手側は原則課税事業者と同様で、買い手側はインボイス制度の開始前後で対応を変える必要がありません。なぜなら、簡易課税制度の納付税額算出には実際の仕入税額が関係ないからです。
簡易課税制度の納付税額算出
簡易課税制度を選択した事業者は、下記の式により仕入税額を算出し、その仕入税額を売上税額から引いて納付税額を割り出します。
仕入税額 = 売上税額 × みなし仕入率
みなし仕入率は、下記のとおり事業の種類ごとに異なります。
(出典:国税庁 消費税のあらまし 第8章 令和4年6月)
具体例として、
ある事業者が小売業を営んでおり、売上に係る消費税額が300万円であった場合、納付税額の算出は次のようになります。
仕入税額 = 3,000,000 × 80%
= 2,400,000
納付税額 = 3,000,000 - 2,400,000
= 600,000
小売業は第二種事業なのでみなし仕入率は80%となり、納付する消費税は60万円と算出されます。
このように、簡易課税事業者は買い手側としてはインボイス制度の影響を受けず、仕入税額控除の観点からはインボイスを保存する必要がないということになります。
現状は原則課税制度のほうが納付税額が少なく済む事業者の方も、免税事業者と多く取引がある場合には、インボイス制度開始後には簡易課税制度を選択したほうが納付税額が少なくなるということもあり得るので、選択肢の1つとして考えてみてはいかがでしょうか。
加藤
~インボイス制度のご相談なら三重県鈴鹿市の税理士法人フラッツ・コンサルティングまで~