寄附(寄付)=社会貢献、良いこと! というイメージの通り、寄附というお金の使い方をした場合は税務上で優遇してもらえる制度があります。
寄附金の控除は個人でも法人でも受けることができますが、ここでは個人が支出した寄附金についてご紹介します。
控除が受けられる税金の種類
所得税と住民税から控除を受けることができます。
注意して頂きたいのは、どこへ寄附しても控除が受けられるという訳ではなく、対象となる寄附先は所得税・住民税それぞれにおいて決まっており、軽減できる税額の計算方法も異なってくるということです。
所得税に関しては、以下に挙げる2種類の控除方法があります。
①「寄附金控除」(所得控除)
特定寄附金を支出した場合、所得控除を利用することができます。
特定寄附金とは、国又は地方公共団体に対する寄附金(ふるさと納税含む)/指定寄附金/特定公益増進法人に対する寄附金/特定公益信託の信託財産とするために支出した金銭/認定NPO法人等に対する寄附金/政治活動に関する寄附金/特定新規中小会社が発行した株式の取得に要した金額などを指します。
*ふるさと納税に関しては、過去ブログにて分かりやすく解説していますので是非ご覧ください。
ふるさと納税はお早めに! (2020.12.9 スタッフブログ)
所得控除とは、所得税を計算する際に、税率をかける大元の所得から一定の金額を差し引くことです。
税率は所得の大きい人ほど高くなりますので、高所得者ほど有利となります。
(出典:国税庁HP No.2260 所得税の税率)
控除できる金額は【(寄付金額-2,000円)×所得税率(5~45%)】です。
(例)年収600万円のサラリーマンが1万円の特定寄附金を支出した場合(復興特別所得税は省略)
{600万ー給与所得控除164万-基礎控除48万-(寄付金額1万-2,000)}×20%-427,500=346,900が所得税の金額です。
寄附金控除をしなかった場合は(600万ー給与所得控除164万-基礎控除48万)×20%-427,500=348,500なので、差額は1600円。
つまり、所得税において控除が受けられるのは1600円ということになります。加えて住民税の方でも控除が受けられますので、確定申告をするメリットはあるかと思います。
②「寄附金特別控除」(税額控除)
以下の団体に対する寄附金では、①の寄附金控除(所得控除)と②の寄附金特別控除(税額控除)で、どちらか有利な方を選択することができます。
・政党・政治資金団体
・認定NPO法人※¹ (内閣府HPにて名簿を確認できます)
・公益社団法人・公益財団法人
税額控除の場合、税額から直接控除することができるので、所得の少ない方でも減税効果が得やすいです。
控除できる金額は【(寄付金額-2,000円)×40%(政党・政治資金団体は30%)】です。
(例)認定NPO法人に1万円寄附した場合
(10,000-2,000)×40%=3,200円
つまり、所得税において3,200円もの控除が受けられ、さらに住民税の方でも控除が受けられますのでなかなか魅力的です。
所得税の税率が40%以上となるのは課税所得が1,800万円以上の人なので、それ未満の所得の人は税額控除が有利です。
※¹ 認定NPO法人以外のNPO法人
国内におけるNPO法人の数は50,867件ですが、所得税で控除が認められる認定NPO法人の数は1,220件(令和3年10月末時点)と、ほんの一部となっています。
住民税の場合は、認定NPO法人に該当せず、所得税の税額控除の対象とならなくても、住所地の地方公共団体が条例で指定した寄付先であれば、住民税から税額控除を受けることができます。
控除できる金額は【(寄付金額-2,000円)×最大10%】です。
条例指定のNPO法人の名簿は各地方公共団体のホームページで確認できます。
もし何かしら寄附をされていましたら、せっかくの良いことですから、ご自身の寄附先が寄附金控除を利用可能かどうかを是非確認してみて下さいね。
原
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