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役員報酬の改定について ~鈴鹿市の税理士 南部会計より~

役員報酬の改定について

新人の松林です。

今回は役員報酬の改定についてお話しします。

役員報酬の全額が法人税法上の経費として認められるためには、役員報酬の金額改定を原則として事業年度開始日から3ヵ月、つまりは直前の決算日から3ヵ月以内に行わなくてはいけません。

株式会社においては、株主総会または取締役会で決議し、株主総会議事録等の作成及び保存を行う必要があります。これらの記録がないと、税務調査の際に減額又は増額した役員報酬の一部が、損金として認められず、追加で納税を求められる場合があります。

税務署などへの申請は必要ありません。原則はこの様な手順を踏み、役員報酬の改定を行います。

役員報酬を改定するにあたって「事業年度開始日から3ヵ月以内」が原則とされていますが、経営状況が著しく悪化したこと(業績悪化改定事由)や、その他これに類する理由があり、役員報酬を減額せざるを得ないという場合は、法人税法上の役員報酬の改定時期に制限を設けていません。

業績悪化改定事由等のやむを得ない状況に該当しない場合の改定はその一部が法人税法上の経費として認められません。以下で例をもって説明致します。

【事業年度開始日から3ヵ月以上後に、業績好調であることから役員報酬を増額した場合】

例)3月決算で毎月の役員報酬は40万円であったが、5月25日の定時株主総会において6月の報酬から60万円に改定することが決定した。

その後 業績好調であることから臨時株主総会にて、9月の報酬から70万円に改定した場合。

→原則である3ヵ月以内の改定期限に沿って、定期株主総会で決定した金額である60万円が損金として認められ、9月以降増額改定された70万円の報酬は、増額前の支給額60万円との差である10万円×7ヵ月(9~翌年3月分迄)の70万円が損金として認められません。

【事業年度開始日から3ヵ月以上後に、営業利益の確保のために役員報酬を減額した場合】

例)3月決算で毎月の役員報酬は50万円であった。5月25日の定時株主総会の際、役員報酬の改定は無かったものの、11月25日の臨時株主総会にて営業利益確保のために、12月の役員報酬から40万円に改定した場合。

→原則である3ヵ月以内の改定期限を過ぎてからの改定は、たとえ減額であっても報酬金額の一部が損金として認められません。

役員報酬は

・定期同額給与(支給額が毎月同額である給与)

・事前確定届出給与(所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与)

これらの区分を満たすものが損金としての計上を認められており、それらに該当しないものや、業績悪化改定事由、又はそれに類する理由ではない営業利益確保などのための改定で生じる差額分は損金として認められません。

以上のことから、営業利益確保のために改定した金額である40万円が定期同額給与とされるため損金として認められ、それ以前に支給していた50万円との差である10万円×6ヵ月(6~11月分迄)の60万円が損金として認められません。

国税庁によるその他の例が掲載されておりますので、是非こちらもご確認ください。

https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/hojin/qa.pdf

この様に、役員報酬の改定は原則である事業年度開始日から3ヵ月以内を過ぎてしまうとその一部が損金として認められない場合があるため、期中の改定はいつでも可能ではありますが、原則に沿った改定を推奨しております。

役員報酬の改定をご検討の場合は、増額であっても、減額であっても慎重にご検討くださいませ。

鈴鹿の会計事務所 南部博税理士事務所より

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