従業員から役員に就任すると何が変わるのか?
んにちは。6月に入り、曇りや雨の日が多くなってきましたね。
さて、弊所では先月、2代目所長の税理士登録も済み、事業承継に向けて少しずつ準備をしている最中です。
お客様のなかでも、今後の事業承継を見据えて、社長の息子さんが従業員から役員に就任する等の準備をおこなっている会社もありますが、では、従業員から役員になるといったい「何」が変わるのでしょうか。
従業員から取締役になった場合を前提に、主な違いをご説明差し上げます。
①会社との契約形態の違い
従業員は会社と「雇用契約」を結ぶのに対し、取締役は会社と「委任契約」を結びます。
従業員は雇用契約のもと、会社(使用者)の指揮命令に従って労働をする義務を負っていますが、取締役は会社からの委任を受けて会社経営をおこなっていきますので、いわゆる労働法の保護が及ぶ「労働者」ではなくなります。
②役員報酬に係る税務上の制限
同族会社の取締役は、自由に報酬が決められる立場にある場合が多いので、利益調整防止の観点から、役員報酬が「定期同額給与」等に該当しなければ、その役員報酬は法人税額計算上の経費(損金)として認められません。
また、取締役に対する「賞与」も一定の手続きを行った賞与(事前確定届出給与)以外に関しては原則的に損金として認められません。
③その他
取締役は、原則として労働保険(労災保険・雇用保険)に加入できませんので、業務中にケガをした場合の補償もありませんし、いわゆる失業給付もありません。
また、従業員時代に会社がかけていた退職金共済制度も原則として脱退(解約)することになります。
このように、取締役になると、役員報酬に税務上の制限を受けたり、労働者としての保護が外れてしまうので留意が必要ですが、役員として、今後の会社の未来を決定する「権限」を持つ立場にある分、
それと同様にその「責務」も重いものになっているのだと私は考えます。
上記のほか、役員に就任した際には登記等の手続を要しますし、場合によっては届出等が必要となってきますので、従業員から役員に就任した際の手続きについては一度ご相談いただけたらと思います。
片山
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