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給与収入と給与所得の違いは?

今年も余すところ一ヶ月。年末調整シーズンの到来です。

一年間の所得税総額を再計算して、源泉徴収した合計額との過不足金を算出し、余分に源泉徴収していた場合にはその差額が従業員に還付されます。

その際に収集する書類として『給与所得者の扶養控除等(異動)申告書』というのがあります。そこには、源泉控除対象配偶者や扶養親族のところに『所得の見積額』の欄があるのですが、ここに所得金額ではなく収入金額を記入されていることがよくあります。

では所得と収入はどう違うのでしょうか?

ここでは、給与収入と給与所得に絞って説明することにします。

給与収入

いわゆる年収のことです。手取額ではなく、源泉徴収前の給与や賞与のすべてを合計した金額になります。金銭で支給されるもののほか、給与の支払者から受けた下記のようなものも含まれます。

①商品などを無償又は低い価額で譲り受けたことによる経済的利益

②土地や建物などを無償又は低い使用料で借り受けたことによる経済的利益

③金銭を無利息又は低い利息で借り受けたことによる経済的利益

給与所得

給与収入から、所得税法で定めた給与所得控除額を差し引いた金額が給与所得となります。この給与所得控除額は会社員の必要経費とみなされており、給与等の収入金額に応じて次のようになります。ただし、給与等の収入金額が660万円未満の場合には、以下の表にかかわらず、所得税法別表第五(年末調整のための給与所得控除後の給与等の金額の表)により給与所得の金額を求めます。

令和元年分

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
1,800,000円以下収入金額×40%
650,000円に満たない場合には650,000円
1,800,000円超3,600,000円以下収入金額×30%+180,000円
3,600,000円超6,600,000円以下収入金額×20%+540,000円
6,600,000円超10,000,000円以下収入金額×10%+1,200,000円
10,000,000円超2,200,000円(上限)

 

令和2年分以降

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
1,800,000円以下収入金額×40%-100,000円
550,000円に満たない場合には、550,000円
1,800,000円超3,600,000円以下収入金額×30%+80,000円
3,600,000円超6,600,000円以下収入金額×20%+440,000円
6,600,000円超8,500,000円以下収入金額×10%+1,100,000円
8,500,000円超※1,950,000円(上限)

給与所得者の特定支出

給与所得控除額は経費として実際に使ったかどうかにかかわらず差引かれるものですが、給与所得者が次の6つの出費があった場合で、その金額が給与所得控除額の半分を超えるときは、確定申告によりその超える部分の金額をさらに差引くことができます。

①一般の通勤者として通常必要であると認められる通勤のための支出(通勤費)

②転勤に伴う転居のために通常必要であると認められる支出(転居費)

③職務に直接必要な技術や知識を得ることを目的として研修を受けるための支出(研修費)

④職務に直接必要な資格を取得するための支出(資格取得費)

⑤単身赴任などの場合で、その者の勤務地又は居所と自宅の間の旅行のために通常必要な支出(帰宅旅費)

⑥次に掲げる支出(その支出の額の合計額が65万円を超える場合には、65万円までの支出に限ります。)で、その支出がその者の職務の遂行に直接必要なものとして給与等の支払者より証明がされたもの (勤務必要経費)

(1) 書籍、定期刊行物その他の図書で職務に関連するものを購入するための費用(図書費)

(2) 制服、事務服、作業服その他の勤務場所において着用することが必要とされる衣服を購入するための費用(衣服費)

(3) 交際費、接待費その他の費用で、給与等の支払者の得意先、仕入先その他職務上関係のある者に対する接待、供応、贈答その他これらに類する行為のための支出(交際費等)

 

令和2年以降は、勤務する場所を離れて職務を遂行するために直接必要な旅行で給与の支払者により証明された通常必要な支出(職務上の旅費)も特定支出になります。

なお、これらの六つの特定支出は、いずれも給与の支払者が証明したものに限られます。

 

収入と所得の違いを普段は意識することなく使っていることが多いですが、実は全く違うものです。知っておくと良い場面も、今後出てくるかもしれません。

 

後藤 百合子

~年末調整や税金のご相談なら三重県鈴鹿市の南部博税理士事務所まで~

 

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