こんにちは!
今週担当の三谷です。
気づけば今年もあと5日となり、南部会計でお仕事を始めてからいつのまにか半年が過ぎようとしています。毎年言っている様な気がしますが1年はあっという間ですね!
南部会計事務所では本日12月27日(金)が仕事納めとなります。来年も良い年を迎えられるよう最後の1日まで精一杯努めていきたいです。
そんな年の瀬の12月ですが今月の12日に「令和2年度税制改正大綱」が発表されたのはご存じでしょうか?
税制改正大綱とは?
税制改正とはその名の通り「税制(=税金の制度)を改正する」ことを指します。国や自治体が公共施設や行政サービスを維持・提供するため様々な税を定めていますが、これらを賦課、徴収する仕組みが「税制」です。この税制は政権や社会、時代に合わせて新しいものへと作り変えていく必要があり、税制を改めることでその時に必要な分の歳入を確保しています。
税制改正大綱は翌年の日本の税制のあり方を網羅的にまとめた、いわば計画書のようなもので、政府・与党から毎年秋口から12月中旬ごろに発表されます。この大綱に従い、翌年の1月ごろに行われる通常国会に税制改正関連法案が提出されるという流れになります。
今回の税制改正の概要
さて、発表された税制改正の概要は以下になります。
細かく列挙していくだけでも年を越しそうなので、今回は内容までは深く掘り下げず概要の一部を抜粋してご紹介します。
○オープンイノベーションに係る措置:ベンチャー企業に対する出資の最大25%相当の損金算入を可能にする措置
○未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(夫)控除の見直し:未婚のひとり親も寡婦(夫)控除が可能になる措置
○国外居住親族に係る扶養控除の見直し:国外に居住する扶養親族の対象年齢を原則として16歳以上29歳以下、70歳以上に変更(30歳以上70歳未満を原則除外)
○5G導入促進税制:5G設備投資で30%特別償却または15%税額控除
○地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の拡充:税軽減額を約6割(現行3割)に拡充して5年延長
○電子帳簿保存制度の見直し
○所有者不明土地等に係る固定資産税の課題への対応:所有者が不明な場合は使用者を所有者とみなして固定資産課税ができる措置
など
(出典:財務省HP:https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2020/02taikou_gaiyou.pdf)
発表された大綱ではベンチャー企業への投資や5G投資での税制優遇について適用できる企業は限られてきますが、一方で所得税については寡婦(夫)控除や未婚ひとり親の税制が見直され、影響を受ける方が多い印象を受けました。
来年から改正される主なポイント(所得税)
今回発表された「令和2年度税制改正大綱」は来年度1月ごろ開催の通常国会より審議されていく為、通常のスケジュールでは3月末に国会により承認され、4月1日に大綱の内容に沿った法律が施行されることになります。そのため税制が改正されるのは少し先になることが一般的です。
それでは来年から実際に改正される内容はどういったものになるのでしょうか?
次に「平成30年度税制改正大綱」により、来年1月から改正となる所得金額に関連する主なポイントについてご紹介します。
①給与所得控除の一律10万円の引下げ
給与所得控除は162.5万円以下の年収で65万円控除されていましたが、来年からは55万円の控除となります。また、控除上限額も220万円から195万円と変更されるため、850万円超の年収がある方にとっては10万円以上の引下げ額となります。
②基礎控除の一律10万円の引上げ
全ての納税者に適用される所得控除である基礎控除が現在の38万円から来年からは48万円に控除枠が増額されます(ただし、合計所得金額が2,400万円超の方は段階的に控除額が引き下げられる措置があります)。これにより①の給与所得控除の引下げを受けても年収850万円以下の方は影響を受けませんが、年収850万円を超えると所得税の増税となります。ただし、23歳未満の扶養親族がいる場合などは③の所得税額調整控除によって税負担の軽減があります。
③所得金額調整の創設
上記でも少し触れましたが、年収850万円超の方は所得税が増税になるため、子育てや介護世代の負担が増えないよう以下の条件のいずれかに当てはまる方は新しい給与所得からの控除制度を適用できます。
(1)本人が特別障害者である
(2)23歳未満の扶養親族がいる
(3)特別障害者である同一生計配偶者、あるいは扶養親族がいる
以上の条件のいずれかに当てはまる方について、控除額は(給与等の収入金額(1,000万円を上限)から850万円を控除した金額の10%相当額を、その年分の給与所得の金額から控除されます。すなわち、給与収入1,000万円の方は(1,000万円-850万円)×10%=15万円の控除となります。
④配偶者・扶養親族等の合計所得金額要件の見直し
配偶者や扶養親族の扶養の要件は、これまで合計所得金額38万円以下でしたが、来年以降は48万円以下に変更となります。しかし、給与所得控除の10万円引下げと合わさるので一般的な控除枠内での年収「103万円以下」という水準は今まで通りです。また、源泉控除対象配偶者や配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額合計、勤労学生の合計所得要件もそれぞれ要件が見直されますが、給与収入の要件はそのままなので特に影響はないといえます。
⑤青色申告特別控除額の見直し
個人事業主が青色申告で事業所得や不動産所得を申告した場合に適用される青色申告特別控除額が現行65万円から55万円に変更されます。ただし、e-taxを利用して申告書及び青色申告決算書を提出する場合(または電子帳簿保存をの承認を受けた場合)は現行通り65万円の控除を受けることができます。
改正の内容は将来にかかわる大切な情報
毎年改正がある税制を細かく全て把握するのは数日では難しく、私もまだまだ勉強の途中なのですが、改正の中には上記で取り上げたような所得金額に関係する、つまり今後の生活に影響のある内容も少なくありません。
知らなかったで済まされないのが税金です。お客様の将来に寄り添ってお手伝いできるよう、大切な情報はしっかり把握して前もって情報提供できるようこらからも努めていきます。
おかげさまで本年も無事に年の瀬を迎えることができました。これもひとえにお客様及び関係者様のお力添えによるものと感謝しております。
本年は特に新しいご縁を頂戴し、多くの方とお知り合いになることができ南部会計にとって実りのある1年となりました。
来年もさらに精進していく所存ですので、より一層のご支援の程よろしくお願いいたします。
1年間本当にありがとうございました。
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