スタッフブログ

新しい資金調達「クラウドファンディング」について

今週担当の三谷です。

長かった梅雨もようやく終わりを見せ始めてきていますね。

最近、新型コロナ関係に関する制度や政策などが目を引きますが、資金調達の一つとして注目されている「クラウドファンディング」に関してご紹介します。

クラウドファンディングとは

クラウドファンディングとは群衆(Crowd)と資金調達(Funding)を組み合わせた造語であり、不特定多数の人がインターネット等を経由して組織に財源の提供や協力などを行うことを言います。日本では「クラウドコンピューティング」のCloud(雲)と混同される場合があります。

クラウドファンディングは大別して以下の種類に分けられます。

①寄付型クラウドファンディング

②購入型クラウドファンディング

③金融型クラウドファンディング

クラウドファンディングについて注意が必要なのは上記の3類型で「税務的な取扱いが異なる」点にあります。

また、日本ではクラウドファンディングの歴史が浅く、国税庁にクラウドファンディングについて具体的に記載されたところはなく、現状は類型に応じた「実態判断」で解釈されるというのが一般的です。

①寄付型クラウドファンディング

資金の提供者に「見返り(リターン)」を返戻しないタイプになります。被災地や途上国など社会的意義の高いプロジェクトに対して「寄付」をしたいという方が利用されるクラウドファンディングになります。

②購入型クラウドファンディング

資金の提供者に「金銭以外のリターン」を行うタイプになります。新たな自社商品やサービスなどを返戻するのが一般的です。日本ではクラウドファンディングと聞いて一番メジャーな仕組を持つクラウドファンディングになります。

③金融型クラウドファンディング

資金の提供者に「金銭」のリターンを行うタイプになります。貸付型、ファンド型、株式型などがあり、投資型は貸金業者登録や金融商品取引法の規制があるため現在の日本ではマイナーなタイプのクラウドファンディングになります。

クラウドファンディング活用の際の会計処理

日本では③について提供者側に大きく制限があるため、広く利用されている①、②について一般的な会計処理をご紹介します。

①寄付型

寄付型の場合、資金の提供者は税務上「寄付金制度」の制約を受けます。通常の「寄付」と同様一定額までしか損金算入が認められておらず、寄付の受け手側も受贈益として課税される場合があります。また、個人か法人かで寄付金ではなく「贈与税」の対象になる場合もあり、取扱に注意が必要です。

②購入型

購入型は、税務上「通常の売買」と同様に扱われます。資金の受手側は資金受取時は成果物未完成のため「前受金」として計上し、完成、商品等を引き渡した時点で「売上」に振替るのが一般的です。通常の売買と同様に扱われるため、受け取った資金から原材料や外注費、プラットフォーム提供者への手数料などを控除した利益が課税対象となり、個人の場合には所得税、法人の場合には法人税がそれぞれ課せられます。また、消費税に関しても通常の売買同様「課税取引」として扱われます。

まとめ

上記をまとめると以下のようになります。

資金調達といえば、一般的に金融機関からの借り入れやベンチャーキャピタルによる出資などが挙げられますが、クラウドファンディングは「手軽さ」や「拡散性の高さ」、「テストマーケティングにも使える有用性」といった新たな魅力がある資金調達の仕組みです。

日本では2011年に初めてクラウドファンディングサービスが提供されており、同年は東日本大震災の年だったこともあり、新しい資金調達の手段としてだけではなく寄付をする際の新しいチャネルとして急速に浸透しました。

昨今、新型コロナウイルス感染症によって様々な企業や個人に影響を及ぼしていますが、危機的状況を突破する手段の一つとして活用してはいかがでしょうか。

~税金、会計処理についてのご相談なら三重県鈴鹿市の南部博税理士事務所まで~

PAGE TOP