今週担当の中川です。
先日、こんなニュースを目にしました。
「新型コロナウイルス関連倒産」が500件に~第1号案件から195日~
このニュースを見ながら、倒産防止共済制度のことを思い出したのでご紹介します。
倒産防止共済とは?
倒産防止共済とは、独立行政法人 中小企業基盤整備機構が運営する共済制度で、中小企業の取引先事業者が倒産してしまった際の連鎖倒産を防ぐことを目的として昭和53年4月にスタートしました。
倒産防止共済に加入し、掛金をお支払していくと、「取引先の倒産」という不足の事態が発生した際に、無担保・無保証人で掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで借入が可能です。
取引先の倒産が起きたときに、お金がもらえるのではなく、お金を借りることができるという点には注意が必要ですね。
また、取引先の倒産も「夜逃げ」による倒産の場合には借入が受けられません。
借入が受けられる取引先の倒産は以下のものがあります。
・法的整理
・取引停止処分
・でんさいネットの取引停止処分
・私的整理
・災害による不渡り
・災害によるでんさいの支払不能
・特定非常災害による支払不能
こうした事態が発生した際に、無担保・無保証人で掛金の最高10倍(上限8,000万円)までの借入が可能となります。
倒産防止共済の掛金について
倒産防止共済は、取引先の倒産という不測の事態に備えるため、掛金をお支払していきます。
この掛金は月額5,000円~20万円まで自由に選ぶことができ、累計で800万円になるまでお支払いすることができます。
支払方法も、毎月払いか年払いかを選択できます。
年払いの場合、お支払額は6万円~240万円までとなります。
そして、この掛金は支払ったときに全額経費で落とすことができます。
そのため、法人様などでは決算間近に年払いでお支払される方が多い印象です。
利益や資金繰りの様子を見ながら、6万円~240万円の間で支払額を決めることができるので、多額の利益が出そうなら240万円を選び、資金繰りが厳しいようであれば6万円を選ぶことができるのです。
ただし、掛金をお支払できるのは累計で800万円までなので、上限の月額20万円(年額240万円)であれば3年程度(40カ月)しかお支払いできないので注意が必要です。
倒産防止共済を解約したら?
倒産防止共済を解約した場合、掛金は条件によっては全額戻ってきます。
その条件は以下となります。
参照 https://www.smrj.go.jp/kyosai/tkyosai/about/loan/index.html
任意解約のパターンで考えると、全額戻ってくるための条件は、解約時に40カ月以上掛金を納めていることになります。
解約時に40カ月未満の場合は、上記のように全額は戻りませんのでご注意ください。
また、解約しお金が戻ってきた場合、その戻ってきたお金は全額利益となりますので、ご注意ください。
掛金を支払ったときには経費となりますが、解約し掛金が戻った時には利益となります。
そのため、解約時に多額の利益が出ている場合、多額の納税が必要となる場合があるため、解約時期には注意が必要です。
不測の事態に備えて
倒産防止共済は、掛金を払ったときに経費となり、解約し入金があったときに利益となります。
そのため、節税目的で加入するパターンも多いです。
しかし、収束の見通しがなかなか立たないコロナ禍の状況でこそ、倒産防止共済の本来の目的が活きてくるかもしれません。
まだまだ予断を許さない状況ではありますが、数年後を見据えて倒産防止共済の加入を検討してみてはいかがでしょうか?
参照:中小機構 経営セーフティ共済 https://www.smrj.go.jp/kyosai/tkyosai/index.html
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