連日、熱戦が繰り広げられている東京オリンピックですが、日本勢のメダルの勢いは素晴らしいですね。
この日のために選手はもちろん、育成強化に努めたスタッフの努力も、いかほどだったのだろうと思いをはせてしまいます。
日程はまだ半分ですから、これからもきっと活躍を見せてくれるでしょう。期待に胸が膨らみます。
さて今回は、会社が社宅や寮を貸したときの取り扱いについてお話ししようと思います。
会社が社宅や寮を貸すことは一般的によく行われているのですが、この賃貸料について、貸す相手が役員であるか従業員であるかにより、税務上の取り扱いが異なります。
従業員に貸したとき
会社が無償で貸した場合は、「賃貸料相当額」が給与として従業員に課税されます。
また、家賃を従業員から受け取っていても、その金額が「賃貸料相当額」の50%より低ければ、受け取った家賃と「賃貸料相当額」の差額が、給与として課税されます。
つまり、「賃貸料相当額」の50%以上を家賃として会社が受け取っていれば、従業員に税金は課されません。
ところで、この「賃貸料相当額」ですが、会社が他からアパートやマンションを借りて、そのまま役員や従業員に貸し付ける場合の、会社が支払う家賃の額というわけではありません。
「賃貸料相当額」は、次の①~③の合計額で算出します。
①(その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
②12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/3.3(平方メートル))
③(その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%
また、他から借りて社宅として使用する場合には、会社が契約する必要があります。
入居者である従業員が直接契約して、その家賃を会社が負担すると、社宅等の貸与とはみなされず、従業員に給与として課税されます。
あるいは、社宅貸付ではなく住宅手当として支給した場合、これも給与として源泉所得税の対象となります。
役員に貸したとき
会社が無償で貸した場合は、従業員の場合と同じく給与課税となります。
そして、役員から家賃を受け取っていても、その金額が「賃貸料相当額」より低い場合は、「賃貸料相当額」と家賃の差額が給与として課税されます
従業員の場合と違い、「賃貸料相当額」の50%ではなく100%以上の家賃でなければ、給与とみなされ課税されてしまうのです。
さらに役員社宅の場合は、「賃貸料相当額」についても、社宅の規模により算出方法が異なってきます。
1.社宅が小規模な住宅である場合
「賃貸料相当額」は、次の①~③の合計額で算出します。
① (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
② 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/3.3(平方メートル))
③ (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%
ここでいう小規模な住宅とは、次にあげる住宅をいいます。
● 法定耐用年数が30年以下の建物の場合には床面積が132平方メートル以下である住宅。
● 法定耐用年数が30年を超える建物の場合には床面積が99平方メートル以下(区分所有の建物は共用部分の床面積をあん分し、専用部分の床面積に加えたところで判定します。)である住宅。
2.社宅が小規模な住宅でない場合
① 自社所有の社宅の場合
次のイとロの合計額の12分の1が「賃貸料相当額」になります。
イ (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×12%
ただし、法定耐用年数が30年を超える建物の場合には12%ではなく、10%を乗じます。
ロ (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×6%
② 他から借り受けた住宅等を貸与する場合
会社が家主に支払う家賃の50%の金額と、上記①で算出した「賃貸料相当額」とのいずれか多い金額が賃貸料相当額になります。
3.豪華社宅に該当する場合
通常支払うべき使用料の額が「賃貸料相当額」になります。
なお豪華社宅とは、次のようなものをいいます。
● 床面積が240平方メートルを超えるもののうち、取得価額や支払い賃貸料、内外装の状況から豪華社宅と判断されるもの
● 床面積が240平方メートル以下であっても、プール等の設備や、役員個人の趣味嗜好が著しく反映された設備等から豪華社宅と判断されるもの
また、従業員の場合と同様に、入居者が直接契約して家賃を会社が負担した場合や、住宅手当を支給した場合は、給与として課税されることになります。
後藤 百合子
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