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パワハラ等で受ける損害賠償金

連日の猛暑で、少々バテ気味の毎日です。

体温より高い猛暑日が続くなんて どうなってるんでしょうね… 毎年去年より暑くなっているような気がします。 皆様、熱中症にはお気をつけください。

さて、今回はパワハラ等被害者が受ける損害賠償金についてお話しようと思います。 これまで中小企業において努力義務とされてきましたパワハラ防止措置が、改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)の施行により今年4月1日から義務化されました。パワハラ防止法が求める措置に対応するためには就業規則等の服務規律に関する文書の整備、社内研修、相談窓口の設置などを行うことが求められます。ではパワハラに該当することとは何でしょう?

職場におけるパワーハラスメントの代表的な言動の類型

パワハラに該当する例として以下の6類型が挙げられています。

  • 身体的な攻撃…暴行、傷害
  • 精神的な攻撃…脅迫、名誉棄損、侮辱、ひどい暴言
  • 人間関係からの切り離し…隔離、仲間外し、無視
  • 過大な要求…業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強要・仕事の妨害
  • 過小な要求…業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
  • 個の侵害…私的なことに過度に立ち入る

指針では、客観的にみて業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導についてはパワハラに該当しないとされています。ただし合理的指導の間の境界線が難しいという問題があるので、さらに7つの要素をあげています。

  • 当該行動の目的
  • 当該行動を受けた労働者の問題行動の有無、内容、程度等の経緯、状況
  • 業種、業態
  • 業務の内容、性質
  • 当該言動の態様、程度、継続性
  • 労働者の属性や心身状況
  • 行為者との関係性

 これらの要素を検討した上で業務上必要か相当な範囲かを判断することになります

パワハラを勘違いしやすいケース

部下の指導で注意を行うべき時に部下から「不愉快」ととらえられ、パワハラ被害を訴えられたらと思い注意ができなくなってしまう上司もいます。業務上必要な注意指導は行き過ぎとならぬよう上記の7つの要素を考慮して行うことが適切です。また部下からであっても発言内容・態度によっては上司に対するパワハラも起こることがあります。研修などで労使双方がパワハラ防止意識を高める必要がありますね。

厚生労働省:職場におけるハラスメント防止のために~ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/seisaku06/index.html

 

パワハラ等被害者が受ける損害賠償金等 名目ではなく実質で所得税が課税されます!

 例えば、部下(被害者・元従業員)がパワハラ行為により会社、上司(加害者)に対し損害賠償請求訴訟を提起。その後裁判で請求を認められた場合

〇損害賠償金、慰謝料、和解金、解決金

(1)会社側の取り扱い

・損害賠償や慰謝料ということで支払う金銭及び和解した場合に和解金や解決金ということで支払う金銭については、次の(2)に記載のとおり、その名目ではなく実質によることになりますが、通常の場合、これらは法人税法上損金の額に算入され、消費税法上は対価性がないことから適用対象外とされます。

・加害者が負担すべき解決金を法人が負担した場合は、これは立替ですから直ちに損金算入にすることは認められません。立替にかかる解決金は、本来負担すべきものに対して支払いを請求すべきですが、これを断念した場合には、加害者に対する給与(役員であれば役員給与(臨時的給与)として取り扱われるものと理解されます。

国税庁第4款~ https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_07_04.htm

 

(2)受け取る側の取り扱い等

・損害賠償金等の性質が「心身に加えられた損害に基因するもの(所令30①-)及び「相当の見舞金(所令30①三)に該当するものであれば、所得税は課されません。(所法9①十八、所令30)。賠償金等は一般的には所得税が課税されないものと理解されているように思われますが、これらのものについてはその名目の如何にかかわらず、その実質によって所得税が課税か非課税かが判断されます。例えば、不当な差別扱いによる賃金格差を理由に損害賠償の訴えを起こし、その差別がなければ支給されていたはずの賃金と実際の支給額との差額を賠償金として受け取った場合には、その賠償金は労務提供の対価にほかなりませんので、給与の支給を受けたものとされ、給与所得として課税されることとなります。同様に賠償金として受け取っていても、それが退職金の差額や解雇予告手当という内容のものであれば、その賠償金は退職所得となります。受け取った側において賠償金が給与所得、退職所得として課税されるということは、これを支払う会社側においては、源泉徴収義務が生じることになります。ちなみに、従業員(加害者)が勤務中に交通事故などで第三者(被害者)に与えた損害に基因する損害賠償金については、本来従業員が支払う分を会社側が代わって負担するケースなどは、加害行為の業務の関連性、従業員の故意又は重過失の有無に応じて給与課税の判断が異なります。給与課税にされないケースは、加害行為に業務関連性があり、従業員に故意または重過失がない場合になります(所基通36-33)

参照:タックスアンサー №1700.№1705、№6257

最後に

パワハラ防止法には罰則は定められていません。しかし、パワハラが発生した場合には、加害者のみならず、防止措置や発生後の対応を怠った会社側にも責任が生じます。 また、訴訟になれば時間と労力がかかり、社内外からの印象が悪化したり、離職者の発生につがなるなど、少なからずの不利益が発生します。 そのため、今一度自社の状況を見直してはいかがでしょうか。

担当:岡田

~税金の相談なら三重県鈴鹿市の税理士法人フラッツ・コンサルティングまで~

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