起業を考えているお客様や個人事業から法人成りをしようしている個人事業主のお客様からよくこんなことを聞かれます。
「新しく会社を作ったら消費税は2年間払わなくてもいいんでしょ?」
こうやって聞かれた際に、私はこのように答えています。
「はい!条件を満たせば2年間納税義務はありません!」
ではこの「条件を満たせば」というものはどういったものでしょうか?
ここでは令和1年8月1日に設立し、事業年度が1年(令和2年7月31日決算)の場合とします。
消費税の納税義務を免除するためには・・・
〇設立1年目(令和1年8月1日~令和2年7月31日)
①資本金等が1,000万円未満
②課税事業者選択届出書を提出していない
〇設立2年目(令和2年8月1日~令和3年7月31日)
①資本金等が1,000万円未満
②課税事業者選択届出書を提出していない
③特定期間の課税売上高または給与支給額が1,000万円以下
設立1年目は、ほとんどの会社が条件を満たすと思いますが、唯一気を付けなければならないのが資本金です。
設立する際に資本金を1,000万円以上で設立すると、設立1年目から消費税の納税が必要となってしまいます。
今回のケースで考えると、令和1年8月1日時点で資本金が1,000万円以上であれば消費税の納税が必要ということになります。
設立2年目も同様で、今回のケースで考えると、令和2年8月1日時点で資本金が1,000万円以上となっていると消費税の納税が必要となります。
また、設立2年目には③という要件が加わります。
③の「特定期間」というのは、前期の最初の6か月間という期間になります。今回のケースで考えると、令和1年8月1日から令和2年1月31日までの課税売上高か給与支給額が1,000万円を超える場合、設立2年目に消費税を納税する必要が出てきます。
上記のように、法人成りや全くの新規で法人を作る場合などはこのような判断基準で問題ありませんが、すでに会社を経営されている社長がもう一つ会社を作る場合や、相続・合併・分割などがあった場合にはもう少しややこしい判定基準がありますので、そうした場合はご注意ください。
なお、②については特に触れていませんが、消費税の納税を行う必要がないのにあえて消費税の納税を選択することがあります。
消費税をあえて払うほうが得をする場合があったりもするので、会社を設立する際は事前に税理士にご相談することをおすすめします。
中川俊宏
~会社の設立や消費税のことなら三重県鈴鹿市の南部博税理士事務所まで~