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インボイス制度において立替払いがある場合の留意点

 残暑の厳しさはまだまだ続いていますが、それでも朝晩の空気には秋の訪れを感じられるようになりました。

そして、いよいよ来月からはインボイス制度が始まります。ご準備の方はいかがでしょうか。

この時期が近づいてくるにつれ、当事務所にも色々とお問い合わせが増えてきました。いざとなると、様々なケースを想定し、数々の疑問点も生じてきます。

今回はその中から、事業者間の立替金の取り扱いについてご説明したいと思います。

インボイス(適格請求書)に記載する必要事項

インボイス(適格請求書)には、下記の6項目が記載されていなければなりません。

① 適格請求書発行事業者の氏名または名称および登録番号

② 課税資産の譲渡等を行った年月日

③ 課税資産の譲渡等に係る資産または役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容および軽減対象資産の譲渡等である旨)

④ 税率ごとに区分して合計した課税資産の譲渡等の税抜価額または税込価額の合計額および適用税率

⑤ 税率ごとに区分して合計した消費税額等

書類の交付を受ける当該事業者(課税仕入れを行った者)の氏名または名称

経費を立替えてもらった場合

 下図のようにB社がC社に対し立替払いをした経費をA社が精算するといった場合、C社から立替払いをしたB社宛に交付されたインボイスをB社からそのまま受領したとしても、これをもって、C社からA社に交付されたインボイスとすることはできません。

⑥の事業者名がB社となっているため、要件を満たさないからです。

経費の支払先であるC社から行った課税仕入れがA社のものであることを明らかにするため、立替払いをしたB社からそのインボイスのコピー及び立替金精算書等の交付を受ける必要があります。

この場合、立替払いを行うB社が適格請求書発行事業者以外の事業者であっても、C社が適格請求書発行事業者であれば、仕入税額控除を行うことができます。

インボイスのコピーを交付することが困難な場合

立替を受けた者に対して交付するインボイスのコピーが大量になるなどの事情により、立替払いを行ったB社がコピーを交付することが困難なときは、立替払いを行ったB社が、C社から交付を受けたインボイスを保存し、A社に対し立替精算書を交付することにより、A社はその立替金精算書の保存をもって、仕入税額控除を行うことができます。

この場合、立替金精算書には、その立替金が仕入税額控除可能なものか(すなわち、適格請求書発行事業者からの仕入れか、適格請求書発行事業者以外の者からの仕入れか)を明らかにし、また適用税率ごとに区分することや、経費の支払先の登録番号を明記するなど、立替金精算書のみでインボイスの必要事項を満たす必要があります。

なお、仕入税額控除の要件として保存が必要な帳簿には、課税仕入れの相手方の氏名又は名称の記載が必要であるほか、その仕入れ(経費)が適格請求書発行事業者から受けたものであることを確認できるよう、立替払を行ったB社とA社の間で、課税仕入れの相手方の氏名又は名称及び登録番号を確認できるようにしておく必要があります。

ただし、これらの事項について、別途、書面等で通知する場合のほか、継続的な取引に係る契約書等で、別途明らかにされているなどの場合には、立替金精算書において明らかにしていなくても差し支えありません。

 

 インボイス制度が実際に始まると、他にも色々なケースに直面し、戸惑うことも多くあるかもしれません。

できる限り準備し、備えていきたいものです。

後藤 百合子

~税金の相談については、三重県鈴鹿市の税理士法人フラッツ・コンサルティングまで~

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