こんにちは、今週担当の山納です。
困難な状況が続いていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
先週、国の緊急事態宣言が39県で解除されました。
少しづつ日常を取り戻していく形になると思いますが、元通りになるには時間がかかると思います。
また、新型コロナウイルスの薬やワクチンがない現状では、今後共存していくしかありません。
皆様しっかりと対策を取られていると思いますが、今まで通り感染拡大に十分気を付けながらこの困難を日本全体で力を合わせて乗り越えていきましょう。
新型コロナウイルス感染症特別貸付 民間の金融機関へ拡大!
国の政策として従来、日本政策金融公庫と商工中金で新型コロナウイルス感染症特別貸付が行われてきました。
売上高が前年同月と比較して一定額以上減少した場合に、3000万円を限度として融資後3年目までは実質無利子で融資を受けられるというものです。
この政策融資が、5月1日から民間の金融機関でも利用できるようになりました。
金融機関もこれを受けて、お客様の経営状況を踏まえつつ資金繰りの相談を始めているようです。
今までは、日本政策金融公庫と商工中金でしか扱っていなかったので、相談や申請が殺到して大渋滞状態でしたが、窓口拡大によってより早く困っている会社・経営者へ資金をお届けできるように環境整備されたことは非常に良かったと思います。
新型コロナウイルス感染症特別貸付 借入先で条件比較
では、どこで借りるといいのか?・・・という問題に直面します。
あくまで私見ですが、結論的には3者のどこでもいいのかなと思っております。
融資を受けるにあたって、条件で注視したいところが数点あります。
最近1か月間の売上高(例えば、今5月ですのでこの場合は4月の売上高になります。)
が15%以上減少しているという前提のもとで、日本政策金融公庫(国民生活事業の運転資金としての融資)と民間の金融機関で比較してみたいと思います。
ちなみに、双方が取り扱っている新型コロナウイルス感染症特別貸付(以下、コロナ融資という表現をさせていただきます)は、基本的には同じ内容のものですので、
違いがあるところについて比較していきます。
融資期間
日本政策金融公庫 15年以内
金融機関 10年以内
日本政策金融公庫の方が5年長いですね。
借入金額にもよりますが、余裕をもって15年で返済していくのか、あるいは10年以内の短い期間で返済していくのか、悩ましいですよね。
ちなみに、元本返済の据置期間は双方とも5年以内で受けられます。
しかし、融資期間・据置期間共に希望通りにはいかないこともあるようです。
4年目以降の利率
日本政策金融公庫 1.36~1.65%
金融機関 1.6%
日本政策金融公庫は、過去の借入実績や会社の業績、金融情勢によって異なるようです。
金融機関は、固定金利です。
信用保証料
日本政策金融公庫 元々かかりません
金融機関 実質かかりません
結果的に双方とも保証料はかからないです。
金融機関の「実質かかりません」という表現ですが、実際には保証料が発生してお支払いいただくことになります。
しかし、後ほど一度支払った保証料が全額補助されますので、最終的にはかかりませんということです。
融資実行スピード
日本政策金融公庫 ごめんなさい、わかりません
金融機関 3週間~6週間
借入の申請をしても、融資の実行に時間がかかるようでは意味がありません。
現状の融資実行の状況をちゃんとお伝えできればよかったのですが、力不足ですみません。
日本政策金融公庫については、金融機関よりは1~2週間くらい時間がかかるのではないかと感じています。(これはあくまで私見です。間違っていたらすみません。)
金融機関については、5月1日から解禁されてご相談件数も増えてきているようですが、今ならタイミングが上手くいけば最短で3週間ちょっとで融資を受けられる可能性があるようです。
新型コロナウイルス感染症特別貸付を上手く活用して欲しい
上記で比較してきましたが、利率に差は出てきますが、全体的にそれほど大きな違いはないと感じています。
実は、今回一番インパクトがあった条件が1つありまして、金融機関で繰上返済を行った時の手数料がかからないという点です。 (ただし、繰上返済手数料の取扱いは、金融機関によって異なりますので、借入前にちゃんとご確認下さい。)
どういうことかといいますと、本来、金融機関で借りたお金を資金的に余裕が出てきたなどの理由で一括で繰上返済を行った場合、相当額の手数料が発生します。
本当に結構な金額です。
しかし、今回のコロナ融資については、この繰上返済の手数料がかからないというのです。(日本政策金融公庫は元々かかりません)
個人的には、どちらで融資を受けるかの判断にあたって、この繰上返済手数料の有無というのが大きなポイントとなっていました。
というのも、緊急事態宣言は解除されたものの、第2派、第3派が起こる可能性が十分ある中で、経済活動が元通りになるには1~2年くらいは
かかると考えています。 であれば、無利息で借りれる3年間は不測の事態に備えて出来るだけ多くの融資を受けて、会社の体力を蓄えておきたい。
そして、3年経って景気も業績も本来の状態に戻ってきた時、もし資金的に余裕があれば繰上返済をしてしまいたい。 そうすることで、今後3年間資金繰りに不安を抱えることなく経営の立て直しに集中でき、3年経って使わなかった資金があればそのまま繰上返済してしまえば、全く利息もかからずに完済出来てしまうわけです。
仮にそのまま借り続けることになっても4年目以降1.6%の固定金利で借りられるわけですから、会社によってはそれほど悪い条件ではない。
むしろ、このコロナ融資ではなく、通常の借入を申し込んだ時に1.6%以上の利率でしか借りられない会社であれば、この利率で借りておく
メリットは十分にあると思いますし、また、今後何年後かに多額の設備投資を考えておられる会社にとってもこのコロナ融資で借り入れておくメリットはあると思います。
話が長くなりましたが、金融機関で繰上返済手数料がかからないのであれば日本政策金融公庫とどちらで借りてもいいのかなという結論になるわけです。
どちらで借りてもいいのであれば、私としては融資スピード重視ですかね。
ちなみに、このコロナ融資、併用が可能なんです。
つまり、日本政策金融公庫、商工中金、金融機関のそれぞれでコロナ融資を受けることが出来ますので、3年間無利息で借りられる最大の金額は9000万円になります。(3000万円 X 3か所)皆様に過大な借入をすることを推奨しているわけではありません。
しかし、上場企業でさえ来期の業績予測を発表できないような困難な状態ですので、必要としている金額の2倍くらい多めに借りておいて3年後の状況に応じて繰上返済などの対応をとっていただければ、この3年間を上手く乗り越えられるのではないかという提案なんです。
一度、顧問税理士や金融機関などとしっかり相談していただき、せっかくの制度ですから、このコロナ融資を最大限に活用して欲しいと思います。
~新型コロナ関連の制度についてご不明な点がございましたら三重県鈴鹿市の南部博税理士事務所まで~