一時は収まってきたかのように見えた新型コロナウィルス感染症ですが、やはり自粛解除とともに感染者が増加し、東京では連日の3桁台と、もはやピーク時並みの事態となってきました。
ここ三重県でも、東京都心部への移動についての注意喚起が行われています。まだまだ予断を許さない状況が続いていますが、頑張って乗り切りましょう。
ところで、以前のブログで「在庫の増加が資金不足を招くことがある」と書きましたが、今回はその在庫コントロールについてのお話をします。
在庫管理の指標のひとつ「在庫回転日数」
モノを扱う業種であれば、在庫のコントロールは避けて通れません。
では自社の現状がどうなっているのか、どういった状態を目指せばよいのか。
その指標の一つが「在庫回転日数」というものです。
具体的に言うと、在庫がすべて販売(消費)されるまでにかかる日数のことです。
計算式では、まず「在庫回転率」(期間中に在庫が入れ替わった回数)を求めます。
在庫回転率=売上原価÷平均在庫
※平均在庫=(期首在庫+期末在庫)÷2
次に在庫回転日数の計算をします。
在庫回転日数=期間日数÷在庫回転率
在庫回転率を求める計算式として「売上高÷平均在庫」という算式を用いる場合がありますが、「売上高」と「売上原価」のどちらを使用すればいいかが問題となります。
結論から言うと、自社の実態を知る場合には「売上原価」を使うべきでしょう。在庫金額は常に仕入原価ですから、売上も原価にしないと実際の回転率にはなりません。
しかし、業種別指標として紹介されている場合には、売上高を使用しているものが多いようです。同業他社と比較する場合には、どちらを使用しているか確認してください。
なぜ在庫回転日数のチェックが必要か
いうまでもなく、在庫は売れて初めて現金化され、利益を生みます。そして、その現金でまた在庫を仕入れ、さらに利益を積み重ねていきます。
そのため、その期間が短いほど、効率的に事業資金が回っているといえます。
逆に在庫の滞留期間が長く、何ヶ月もかかっている場合には、それだけ現金化されないので、事業資金が減ってしまいます。
また、過剰在庫をかかえていることで、倉庫賃料などが余分に必要になったり、無駄な作業が増えたりといったことも起こります。
買い手側に立ってみれば、定価で買うのは生鮮品に限らず、できるだけ新しいものの方が嬉しいでしょう。品質が変わらないからといっても、パッケージが古くなったり、埃をかぶっているようなものは遠慮したいものです。
そういったことから、一定の期間ごとに在庫回転日数をチェックすることが、自社の傾向を見るために重要となってくるのです。
在庫回転期間を短くするには
在庫には、回転日数が短く売上・利益に貢献する必要在庫と、長期保管され、あまり売れることのない不要在庫があります。
まずは在庫を区分し、特に不必要な在庫を処分することが重要です。需要がなくなった在庫を処分するのはもちろんのこと、「いずれ売れるから」と、過剰に仕入れたり生産した在庫も、事業資金を圧迫しているなら検討が必要でしょう。
在庫の状態ごとに、販売促進強化や価格の値下げ、ネット販売の利用などのほか、在庫によっては思い切って廃棄することも必要になってくるかもしれません。
在庫回転日数は、一定期間ごとにチェックするようにしましょう。できれば毎月がいいです。
過去からの推移をみて悪化の傾向がでてくれば、早めに対策をたてることができます。
後藤 百合子
~税金や経営についてのご相談なら三重県鈴鹿市の南部博税理士事務所まで~