今年も早いもので、12月も半ばになりましたね。
これから益々冷え込みも厳しくなります。皆様、温かくして新年を迎える準備をしましょう。
そして、すぐに確定申告の時期となります。
そこで、前回のブログに引き続き、青色申告のメリット「青色申告の特典」について説明いたします。
青色申告の基本事項は前回ブログをご参照ください。
青色申告をすると特別控除等の特典を受けられます。その特典は大きく4つあります。
- 青色申告特別控除
- 青色事業専従者給与
- 貸倒引当金
- 純損失の繰越しと繰戻し
まず1.青色申告特別控除についてです。
この特典が青色申告の大きな利点であると言えます。要件を満たせば、所得金額から55万円・65万円・10万円のいずれかの控除を受けられます。
55万円の控除を受けるための要件
(ⅰ) 事業所得または事業的規模の不動産所得を生ずべき事業を営んでいること。
(ⅱ) 正規の簿記(一般的に複式簿記)の原則に則り、記帳していること。
(ⅲ) (ⅱ)の記帳に基づいて作成した青色申告決算書(貸借対照表と損益計算書)を、確定申告書に添付し、控除を受ける金額を記載して、確定申告期限の3月15日までに申告書を提出すること。
※損益通算前の不動産所得の金額または事業所得の金額の合計額が、55万円に満たない場合は、その額が限度になります。
※山林所得の方は10万円控除の対象となります。
65万円の控除を受けるための要件
(a) (i)~(iii)の要件に該当していること。
(b) 次のいずれかに該当していること。
(iv) その年の仕訳帳および総勘定元帳を、電子帳簿保存していること。
(v) その年の所得税の確定申告書、青色申告決算書等を、e-Taxを利用して提出すること。
※ 仕訳帳、総勘定元帳を電子帳簿により、電子データの備付および保存を行い、一定事項を記載した届出書を提出する必要があります。
既に電子帳簿保存の要件を満たし、65万円の青色申告特別控除を受けている方で、令和4年分以後も引き続き要件に該当している場合は、届出書の提出は必要ありません。
電子帳簿保存ブログhttps://flats-tax.jp/blog/20211023.html
10万円の控除を受けるための要件
(i)~(iii)、(a)(b)の要件に該当しない、青色申告をする方が受けられる控除です。
また、貸借対照表が不要となります。
◎青色申告特別控除を受けるための必要書類を揃え、郵送または窓口で提出した場合、55万円の控除となります。65万円の控除を受けるには、e-Taxを使用した確定申告書の提出または、電子帳簿保存が必要であることに、注意しましょう。
◎青色申告特別控除を受けるための条件として、「現金主義ではない」ことも注意点です。現金の動きがあるときに記帳する現金主義ではなく、取引が発生した時点で記帳する発生主義を採用する必要があります。
◎青色申告特別控除は、所得税の節税だけでなく住民税や国民健康保険にも影響し、他の税金の節税にも繋がることが、大きな利点となります。
青色申告特別控除と適用要件
控除額 | 摘用要件 |
55万円 | ❶事業所得または事業的規模の不動産所得のある人で ❷正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により取引を記録し ❸貸借対照表、損益計算書、その他の計算明細書を確定申告書に添付して ❹申告期限内に提出すること |
65万円 | 上の❶~❹の要件に加え、次の❺と❻のいずれかひとつを実施 ❺e-tax(イータックス)で確定申告書・青色申告決算書などを提出 ❻電子帳簿保存法で仕訳帳および総勘定元帳を備付け・保存 |
10万円 | 上の55万円または65万円の控除額の適用を受けない青色申告者 |
全国青色申告会総連合より引用
次に2.青色事業専従者給与についてです。
以下の要件を満たしていれば、青色申告者の事業に専ら従事している人に支払った給与を、事前に提出された届出書に記載された金額の範囲内で適正な金額であれば、必要経費に算入できます。
(1) 青色事業専従者に支払われた給与であること。
(2)「青色事業専従者給与に関する届出書」を、提出期限内に納税地の所轄税務署長に提出していること。
(3) 届出書に記載されている方法かつ金額の範囲内で、支払われたものであること。
(4) 青色事業専従者給与の額は、労務の対価として相当であると認められる金額であること。
※届出書の提出期限は、算入しようとする年の3月15日まで(1月16日以後、新たに開業または専従者がいることになった場合、その日から2ヶ月以内)。
※届出の内容変更がある場合、「青色事業専従者給与に関する変更届出書」を遅延なく提出すること。
続いて、3.貸倒引当金についてです。
事業所得を生ずべき事業を営む青色申告者で、年末における債権の帳簿価額の合計額の5.5%以下の金額を貸倒引当金勘定へ繰り入れた場合は、その金額が必要経費として認められます。ただし、金融業の場合は 3.3%になります(一括評価)。
最後に、4.純損失の繰越しと繰戻しについてです。
・事業所得等で純損失が生じたとき、その損失額を翌年以後3年間繰り越すことで、各年分の所得金額から控除できます。
・前年も青色申告をしている場合、純損失の繰越し分を純損失が生じた年の前年に繰り戻すことで、前年分の所得税の還付を受けられます。
◎つまり、今年が赤字、翌年が黒字となった場合に、白色申告であれば翌年に税金を支払う必要がある一方で、青色申告では翌年の黒字から今年の赤字を差し引くことができ、節税が見込めるということです。
青色申告は、書類を一式揃えることや複式簿記での記帳等、手間のかかる部分もありますが、複式簿記による記帳は経営状況を把握できることにも繋がります。青色申告による節税等のメリットは大きいと言えます。不明点等ございましたらお気軽にご相談くださいませ。
~申告や税務相談は、三重県鈴鹿市の税理士法人フラッツ・コンサルティングまで~
片山
(参考(一部引用):国税庁ホームページ) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm