10月に入った頃はまだまだ暑く、まるで9月の陽気でしたが、先週からは急に冷え込んで11月並みの寒さとなっています。いったい10月はどこへ行ったのでしょうね。
こうなると体調も崩しやすくなります。気を付けましょう。
さて、令和3年度の税制改正では電子帳簿保存法が改正されました。そして、もうまもなく令和4年1月1日から施行されます。
改正前の電子帳簿等の保存においては、事前に税務署長の承認が必要であったり、タイムスタンプ要件や検索要件の対応が困難であるなどハードルが高かったため、なかなか導入が進みませんでした。今までは電子取引データであっても、印刷して紙で保存していたというのが現状です。
しかし、今回の改正で事前承認は不要となり、様々な要件も緩和されることになりました。また電子取引データは、今までのような印刷した紙の保存は認められなくなり、オリジナルデータの保存が求められるようになります。
そして、この改正された電子帳簿保存法は、法人企業、個人事業主のすべてが対象となります。
電子保存の対象となる帳簿書類とは
対象となる帳簿書類は、大きく分けて次の3種類です。
①国税関係の電子帳簿等・・・会計ソフト等で作成した帳簿等や電子作成の課税関係書類
②スキャナー保存・・・取引先から紙で受取った見積書・請求書・領収書といった書類の画像データ
③電子取引の電子データ・・・自社及び取引先で電子的に授受した情報のデータ
電子データ保存の義務化
前述の帳簿書類のうち、③電子取引の電子データについては、今まで印刷して紙で保存していたケースも多かったと思いますが、これからは電子データで保存することが義務化されます。
では、その保存が義務化される電子データにはどんなものがあるかというと、最近多くなっている電子メールにPDFデータで添付された見積書や、WEB上からダウンロードされる請求書はもちろんのこと、例えば下記のような場合も対象になります。
①インターネットサイトで商品を購入した際に、PDFデータでダウンロードした領収書
②取引先からFAXでおくられてきた請求書を、複合機に保存したデータ
③取引情報を電子メールで授受しており、その取引情報がメール本文に記載されている場合の電子メール
④WEB上で利用できるクレジットカードの請求明細データ
⑤スマホアプリを利用した際に、アプリ提供事業者から受領する利用明細
一部の例を記載しましたが、他にも電子取引は様々な形で行われています。保存し忘れないよう注意しましょう。
保存方法について
電子的に受け取った請求書や領収書等の保存にあたっては、検索機能の確保などいくつかの要件を満たさなければなりません。
またその真実性を確保する観点から、以下のいずれかの措置も必要となります。
⑴ タイムスタンプが付与されたデータを受領
⑵ 速やかに(又はその業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに)タイムスタ
ンプを付与
※ 括弧書の取扱いは、取引情報の授受から当該記録事項にタイムスタンプを付すまでの
各事項に処理に関する規程を定めている場合に限る。
⑶ データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステム又は訂正削除ができないシス
テムを利用
⑷ 訂正削除の防止に関する事務処理規程を策定、運用、備付け
また、事後的な確認のため、検索できるような状態で保存することや、ディスプレイ等の備付けも必要となります。
例えば、
1.請求書等のデータのファイル名に、規則性をもって内容を表示する。
例) 2022年(令和4年)10月31日に株式会社国税商事から受領した110,000円の請求書 ⇒ 「20221031_㈱国税商事_110,000」
2.「取引の相手先」や「各月」など任意のフォルダに格納して保存する。
3.「正当な理由がない訂正及び削除の防止に関する事務処理の規程」を作成し備え付ける。
といった方法での保存であれば要件を満たすこととなります。
あるいは、上記1の代わりに、索引簿を作成し、索引簿を使用して請求書等のデータを検索する方法によることも可能です。
※上記3の「正当な理由がない訂正及び削除の防止に関する事務処理の規程」のサンプルや、索引簿の作成例については国税庁参考資料にあります。
『手間が増える』という印象をお持ちの方は多いかもしれません。紙での一元管理はできなくなるため、不自由に思うこともあるでしょう。
その一方で、電子保存が増えることで業務の効率化が図れるのであれば、この機会に資料保存の方法について検討してみるのもいいかもしれません。
後藤 百合子
~経理業務の電子化や税金に関することは、三重県鈴鹿市の税理士法人フラッツ・コンサルティングまでご相談ください~